現実がちょっと込み入ってくると逃避に走る。
自分の場合、それは映画である。
確かに音楽や活字も同様の力を持つが夢(睡眠)に最も近いのが映画。
最近、連休連日稼働の名残でちょっと息切れ気味のため、
明日再び頑張るためには日々の切り替えが必要になる。
そんな時は寝るか、観るかの選択である。

以下は最近、寝食を惜しんで観た映画の寸評。
(極めて個人的な戯言なのでさらっと流しておいてね)

生き続けることが人生

『パティ・スミス ドリーム・オブ・ライフ』
パティ・スミスがかっこよすぎる。
彼女には大学時代から既に20年以上お慕い申し上げているが、
変わらない青臭い生き方に惚れ惚れする。
厳密な意味では映画ではない。
パティ・スミスの人生の2時間を切り取りスクリーンで映しているだけ。
そして、それがたまらないのだ。幸せ……。

おちょくられてなんぼ

『リミッツ・オブ・コントロール』
始終、人をおちょくった映画。
思わせぶりな台詞、怪しげな人物、一切集束されないけれども伏線らしきものが全編。
確信犯的に観客をおちょくっている。ジム・ジャ-ムッシュの意地の悪い笑みが浮かぶよう。
この人とは『ストレンジャー・ザン・パラダイス』からの長い付き合い、
毎度毎度「おちょくられてなんぼじゃい!」と開き直って楽しむしかない。

箱庭的ほっこり

『プール』
所詮、箱庭。
人生にファンタジーが不可欠なことは否定しない。
しかし現実味のない、きれいすぎる箱庭はショールームのようである。
人生にショールームは必要ない。
ショールームが必要なのは、金儲け(商業主義的活動)である。
『かもめ食堂』が人気だったので今度はフィンランドを
最近、女性に人気のタイにしてみましたという受け狙いなあざとさがうかがえる。
プールの傍でギターを皆でギターを語り弾くシーンなどはひとこと「ケッ!」。
これ見よがしな食べ物のアップショットの挿入は余りにも説明的であり、
見栄を切る歌舞伎役者のような取ってつけたような異物感がある。

悪趣味も極めれば……

『ドゥームズデイ』
ヒット映画の寄せ集め的世界、まさにB級グルメのフルコース。
容赦ない残酷描写(ex.首ちょんぱ~)、ご都合主義的プロット、わかりやすいパクリ……。
むちゃくちゃなんだけれども、確信犯的に極めればそれは屈折した美意識となる。
何より(自分も既に大人なんだけれど)大人が眉をしかめるパンクな悪趣味が大好き!